
体外受精(IVF)
体外受精(IVF)
体外受精は、排卵前に体内から取り出した卵子を、培養液の中で精子と受精させた後、約2~5日受精卵(胚)を培養し、良好な胚のみを子宮に戻して着床させます。
ここでは、体外受精の流れおよび対象となる方についてご説明しています。
注)保険診療で体外受精(IVF)を行うには、「これ以外の医療行為では妊娠成立が難しい」と医師が診断した場合に限られます。したがって、単に治療成績が一番高いから(妊娠への早道だから)手っ取り早く体外受精治療をしてほしいというような、患者様希望での実施には保険はつかえません(自費での治療なら可能)。
タイミング法や人工授精を繰り返し行っても、妊娠に至らなかった方。
両側の卵管を切除した方や、検査で両側の卵管の閉塞や癒着が確認されているなど、卵管で精子と卵子が出会う過程が難しいと判断された方。
精子の数が少なかったり運動率が低いため、タイミング法や人工授精治療での妊娠は難しいと判断された方。
上記に限らず、患者様のご年齢やAMH値(極端に低い場合)などによっては、医師の判断ではじめから体外受精治療をご提案することもあります。
通院①:月経2〜5日目 卵巣刺激開始
まず月経2〜5日目にご来院いただき、下記の検査を行います。
・血液検査:E2、LH、FSH(ホルモンの基礎値)を確認
・超音波検査:卵胞数(卵子の入っている袋の数)の確認
検査結果と年齢、挙児希望数から総合的に判断し、患者様一人一人に合わせた排卵誘発法を決定します。
月経3日目ごろから卵巣刺激を開始します。自然にまかせると育つ卵子の数は1周期に1個ですが、卵巣刺激を行うことで、1回の採卵で複数個の成熟した卵子を回収することが可能となります。回収された卵子がすべて順調に発育するとはかぎりませんので、できるだけ多くの卵子を獲得することが治療成績の向上につながります。
通院②〜④:月経8〜12日目
月経8〜12日目に再度ご来院いただき、採血と超音波検査で卵胞の発育状態を確認します。
・血液検査:E2、LH、P4(卵胞の成熟、卵巣過剰刺激症候群リスク)の評価
・超音波検査:卵胞の大きさと数の評価
卵胞の発育が不十分だった場合には、再度診察③〜④が必要になる場合もございます。
卵胞成熟(トリガー):採卵約36時間前
血液検査や超音波検査により卵胞が十分に発育していることが確認できたら、採卵日を決定します。採卵予定時刻の約36時間前に排卵を促す薬剤(注射、点鼻薬)を投与します。
採卵
卵胞成熟トリガーから約36時間後に採卵を行います。同日に精子をご持参いただき、回収した卵子と体外受精を行います。
採卵後に、採卵周期に受精卵を移植する「新鮮胚移植」を目指すか、全胚凍結し次の月経周期以降に「凍結融解胚移植」を試みるか方針を決定します。
受精
採取した卵子を前培養した後、通常、精子をふりかけて受精させます。
また、精子の数が少ない場合や卵子の状態によっては顕微受精を行います。
胚移植
採卵後、2〜5日後順調に育った胚を子宮へと戻します(新鮮胚移植)。
*移植をせずに全ての胚をいったん凍結保存する場合もあります(全胚凍結)。
胚凍結
受精卵(胚)が子宮内膜に着床する最適な時期は、排卵日からおよそ2~5日後ですが、受精卵の育つスピードが遅いと着床のタイミングとずれてしまう場合があります。ここで無理に移植を行ってもうまく着床できません。
また、胚移植は基本的に1個と決められているため、複数個採卵できた方は余剰の胚ができます。
こうした場合は受精卵(胚)を凍結保存しておけば、余剰胚を無駄にすることなく、また子宮と胚との着床のタイミングを合わせて移植することが可能になります。
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